人の動かし方も、
伸ばし方も知っている人
価値観の共有が、
確かな成果を生み続ける


インタビュー&ライティング
内橋麻衣子(取材日:2022年9月) 
 
 

 
小野商工会議所 前会頭
http://www.onocci.or.jp/web/
 
NPO法人 北播磨市民活動支援センター 理事長
http://www.eclat-hall.com/
 
オージヤ商事株式会社 代表取締役社長
https://www.ohjiya.co.jp/
 
 
柳田吉亮さん
小野商工会議所をはじめ、NPO法人、地元企業を通じて、地域活動にも精力的に取り組む柳田吉亮さん。北播磨全域をステージにした「北はりまビジネスフェア」の立ち上げや、ふるさとを愛する人たちの誇りとなるための「小野まつり/おの恋おどり」の発案など、斬新でポジティブな発想をもとに、地域の未来を見据えた挑戦を続けている。
 
 


 
 
求めたのは、 心をつかむ
「センス」と「発想力」


間接照明のライティングと和紙、センスを感じさせる枝ぶりの木でつくりあげた空間に、思わず「ほぉ~」と声が出ました。直接的に何かを「売りたい」というブースではなく、イメージを伝えるブース。これはおもしろいなあと思いましたね。その年の「北はりまビジネスフェア」の出展ブースの中で、今村さんの一角だけが浮き上がって見えましたから(笑)。 気が付けば「このブースを通して、伝えたいことは何だろう」と興味津々で足を止めていましたよ。
「北はりまビジネスフェア(以下、ビジネスフェア)」は、ビジネスマッチングや事業のコラボレーションにつながる企業同士の交流・情報交換の場として、平成23年から小野商工会議所が主管となって開催しています。実はこのビジネスフェアは、当時、副会頭だった私が提案して始まったイベントなんです。会議所のこれからの在り方を考えた時、小野だけでなく北播磨地域全体という広域で経済の活性化を図る新しいものが必要だと思ったからです。
どんなことでも継続すればするほど、前年のやり方をなぞっていれば無事に終えられるという雰囲気が生まれ、「前例のないことはやりたくない」と思いがちです。当時、3年目を迎えたビジネスフェアも例外ではなく、新鮮さが感じられなくなっていました。何をどう変えればいいのか、知恵や企画を出す人材も不足していたんです。
そんな時に出会ったのが、今村さんでした。
「ビジネスフェアの検討委員会にオブザーバーとして参加してもらい、今までにない発想やアイデアを出してもらおう!」
 彼なら事業をステップアップさせるため、力を発揮してくれるかもしれないと思ったんです。
 
 
 

 
 

イメージ戦略で届ける、
地場産業製品の価値と本質


ビジネスフェアは変わりました。その年のテーマを表現する新コーナーが来場者の目に留まるようになり、伝えたいことが届く展示になりました。弊社のブースは素通りする人も、その展示の前では足を止めていましたから(笑)。こうしたフェアでは、まず足を止めてもらうことが最大の課題です。
目にした人に「何かいいものがある」「なんだかすごそうな製品だ」と思わせる、そして足を止めるだけではなく、展示しているものの価値を上げ、本質を魅せる見せ方は、今村さんは天才的だと思います。
一方、「東京インターナショナル・ギフト・ショー(*)(以下ギフトショー)」での小野商工会議所ブースのディレクションもお任せしていますが、他の団体ブースとは明らかにインパクトが違います。その最たるものは、はさみ・鎌・算盤といった小野市の地場産業製品を展示するブースに、小野商工会議所という出展者の名称を一切表記していないことだと思います。
今村さんからは「この出展ブースは、小野商工会議所のPRではなく、地場産業製品を伝えるためのものだからです。来場者は小野商工会議所ではなく、製品を目指してブースにやって来ますから、会議所の名前のアピールは優先事項ではありません。」ときっぱりとした説明をうけました。
続けて、「出展の目的は、販売数を伸ばすことより、製品の価値や単価の向上を目指すこと。はさみも鎌も算盤も売れていないのではなく、むしろ受注待ち。職人の数が減っているからです。製品づくりを続けていくためには、消費者に製品の価値と単価を見直してもらい、市場の中での位置づけを高めていくことが必要です。」とも言います。
本質を見抜き「値段に関係なく、この製品を扱いたい」と言えるバイヤーをブース側が選べるよう、出展ゾーンの選択やブースの見せ方を考え抜いていることがよくわかりました。地域のものづくりの素晴らしさを、どうやって全国にアピールするのか。ギフトショーで伝えるべきコンセプトに沿って、今村さんは常に全体のディレクションと軌道修正を考えているんです。
こうした提案を随所で発していただいたおかげで、「無事にイベントを終えることは最低限のミッション。ビジネスフェアやギフトショーへ出展することが目的ではない」と気づき、共感する若いスタッフたちが現れ始めました。それが何よりもありがたいことでした。
 
*東京インターナショナル・ギフト・ショー:国内最大の企業展示会、日本最大のパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市
 
 
 

 
 

目的の大切さを学べば、
スタッフの成長につながる


「自分が売りたいものより、お客様が必要とするものをきちんと提案し、喜んでいただくことが仕事の本来の目的だ。」
私が自社の営業担当者によく話すことです。いつのまにか目的がブレてしまうことってありますよね。私は常に、今やろうとしている手法はテーマに沿っているか、目的を忘れていないか、最初に立ち返るようにと伝えます。
例えばイベントでは、会場が来場者で埋まれば「大成功だ!」と喜びがちですが、人を集めることではなく、来てくれた人にどれだけ影響を与えられるかが目的のはず。成果に対する評価を勘違いしがちな人が多い中で、今村さんは私と話が通じる部分が多く、話していて楽しいんです。さらに、それをスタッフ育成に落とし込んでくれることも上手です。
私が理事長を務めるNPO法人 北播磨市民活動支援センターが指定管理を受託している「小野市うるおい交流館エクラ」の新入社員研修をお願いして6年になります。
窓口で対応するスタッフたちには、公共施設の正確さに加え、一流ホテルの接客を手本とするようなバランスの良いサービス提供を目指す研修を依頼。また、独立採算性の高いバンケット事業に係わるスタッフには、コスト意識の徹底から資金調達の方法、スポンサー獲得や営業活動の手法まで、幅広い指導をお願いしています。結果、京阪神で抜群に人気の高い有名ホテルやカフェとのタイアップイベントを実現できるまでに育ちました。
それは、小野まつりの運営活動にも活かされ、自主性や責任感の強さを持ったスタッフが育ち、「彼らがいなければ、まつりの運営ができない」と、行政からも一目置かれるほどです。
それらの根底にあるのが、「目的」や「テーマ」に立ち返ることの重要性を伝えながら関わってくれる、今村さんの研修や育成なんです。
今村さんは「主たる目的は何ですか」と、ことあるごとに当方のスタッフに尋ねるそうです。目的を持って動くことは、仕事でぶつかる壁や障害を突破するための材料にもなります。成長していくスタッフを観察していると、今村さんが自分自身の考え方や思考を通じて、目的意識を持った仕事の進め方などを的確に伝えてくれているのだなと感じることができます。
 
 
 
任せきる環境を整えなければ、
本物は生み出せない


彼にはいろいろなことを依頼していますが、実は基本的に私は直接関わりません。
かつてイベントのポスター制作で、みんなの意見を取り入れようとした結果、デザインの統一性がすっかりなくなってしまい大失敗をしたことがありました。その経験から、プロとして任せた以上は口を出さないと決めているんです。今村さんに依頼した以上、余計な口は挟まない、自由に動いてもらう、完全におまかせするという環境を整えることが、私の仕事だと考えています。
初めて出会ってから10年以上になりますが、実は二人で直接的に組んで何かに取り組んだことはないという、ちょっと不思議な関係です。そんな中、最近初めて一緒に取り組む事業をひとつスタートさせました。「もっと良くなる」「これなら社会のためにもつながる」と感じられるセンスや感覚、大切にしているものを共有できる人との仕事が、楽しみで仕方ありません。
ただひとつ、私がもう少し若ければ、この先もどんどん新しい案件でお付き合いできるのに。それだけが残念ですね(笑)。
 
 
 

 

 
 
ないものがある、
ずっと頼っていたい人


個性の強い職人さんたちと上手に付き合える今村さんは、すごいと思います。ものづくりに大切なこだわりや頑固さは、時に付き合い方がとても難しく、しかも複数人となるとこれほど難しいことはありません。そんなものづくり世界の職人たちを上手に巻き込み、しかも方向性をまとめていくというのは今村さんだからできることです。
しかし、なんといっても惹かれるのは、私にないものを持っているところ。私の友人の中には、意見を求めるたびに「はっ!」とさせられ、全く異なる方向からの意見に「そう考えるか」と思わせてくれる人が何人かいます。
今村さんも、共感できる部分がたくさんある一方で、私にはない発想や考え方の切り口をたくさん示してくれる人。知恵を借りたり相談したり、頼っていたい人の一人なんです。
 
 
今村さんってこんな人!


「おもろいで」の一言に尽きます。これは私の最高の誉め言葉で、余人をもっては代えがたい人です。発想のおもしろさも、コンセプトづくりのうまさも、すべて含めて「おもろい」人ですね。
 


 
 
インタビュー&ライティング
内橋麻衣子(取材日:2022年9月)